○木曽岬町環境基本条例

平成12年3月21日

条例第6号

木曽岬町は、三重県の北東端に位置し、川と海に囲まれた豊かな自然と美しい水辺に恵まれ、水利をいかした純農村地帯として歴史を育み、また、猛威をふるった伊勢湾台風等の自然災害に対しても、人々の努力、技術そして知恵と協力で、これを克服してきた。

しかるに、高度経済成長がもたらした大量生産、大量消費型社会は、桑員にも土壌汚染や水質汚濁等の様々な公害を引き起こし、また人口の増加は、社会経済活動を発展させる一方で、自然や野生動植物の減少、あるいは廃棄物問題に代表される都市・生活型公害を顕在化させ、近時、桑員の環境のみならず地球環境にまで深刻な影響を及ぼしつつある。

ここに、わたしたちは、良好な環境を享受し、健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、その良好な環境を保全、改善し、将来の世代へ引き継ぐ義務を負っていることを認識する意義がある。また、わたしたちは、環境の創造物であると同時に、環境の形成者であることを自覚し、先人の知恵に学び、最新の知見と科学技術を活用し、国際社会と協調して、自然環境及び人によって作られた環境を快適なものとして保全、改善していかなければならない。

以上は、「自治と協働」、すなわち、桑員に暮らす人々の全ての参加と公平な役割分担、そして地域自治体の協働によってのみ可能であると信じる。

ここに目標とされる社会は、持続的発展が可能な環境への負荷の少ない資源節約・循環型社会であり、町民は、かかる社会の実現を通して、人と自然が共生できる真に豊かな文化と歴史ある環境及び安全に安心して暮らせる生活と福祉の環境を確保することをもって、環境と福祉と人権が結合する、快適人間環境都市を目指して、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全と改善に関する基本理念を定め、町、町民、町民団体及び事業者(町内において事業活動を行う者をいう。以下同じ。)の責務を明らかにするとともに、基本的な事項を定めることによって、総合的かつ計画的な施策を推進することをもって、現在及び将来の町民の安全、健康で文化的な生活の確保及び福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地域自治体 桑員を構成する桑名市、いなべ市、木曽岬町、東員町をいう。

(2) 桑員に暮らす人々 地域自治体の住民、滞在者又は生活活動の一部を桑員で行う人をいう。

(3) 町民団体 主として町民により組織され、良好な環境の保全と改善のための活動を行い、公益の増進に寄与することを目的とする団体をいう。

(4) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(5) 良好な環境 自然環境と人によって作られた環境との調和によって生ずる快適性、利便性、安全性等に優れた質の高い環境をいう。

(6) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、町民の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(7) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少等、地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全をいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全と改善は、自治と協働の精神をもって、全ての者の参加と、環境の恵みを平等に分かち合うための公平な役割分担の下に行われなければならない。

2 良好な環境の保全と改善は、天然資源の有限性及び自然環境の復元能力の限界性をよく認識し、持続的発展が可能な環境への負荷の少ない資源節約・循環型社会が構築されるように行われなければならない。

3 良好な環境の保全と改善は、真に豊かな文化と歴史ある環境及び安全に安心して暮らせる生活と福祉の環境を確保し、将来の世代に維持継承されるように行われなければならない。

4 良好な環境の保全と改善は、微妙な均衡のもとに成立する生態系の中で多様な野生動植物が共に生きていることを深く自覚し、人と自然の共生が実現されるように行われなければならない。

5 地球環境保全は、健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での緊急の課題であり、わたしたちの営みが国際的な相互依存関係にあることを認識し、国際的な環境管理に準じて推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める良好な環境の保全と改善に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、町民、町民団体及び事業者の参加の下に、基本的かつ総合的な施策を実施する責務を有する。

2 町は、基本理念にのっとり、自然的社会的条件に応じた施策を実施する責務を有する。

3 町は、基本理念にのっとり、多様な環境を共有する地域自治体と環境に関する施策の調整及び協働を図り、その施策を実施するものとする。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、町民は基本理念にのっとり、自ら良好な環境の保全と改善に努めるとともに、町が実施する施策に参加及び協力する責務を有する。

(町民団体の責務)

第6条 町民団体は、基本理念にのっとり、環境保全活動に関し、町民が平等に参画できる体制の整備、情報の提供及び活動機会の充実を図るように努めるものとする。

2 町民団体は、環境保全活動を積極的に推進するとともに、町が行う良好な環境の保全と改善に関する施策並びに町民及び事業者が行う環境保全活動に協力するものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴う公害を未然に防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴う環境への負荷の低減に自ら努め、環境への負荷の少ない再生資源等の利用、資源の節約及び循環を促進するとともに、良好な環境の保全と改善に必要な措置を講ずる責務を有する。

3 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、町が実施する施策に協力する責務を有する。

(年次報告)

第8条 町長は、桑名・員弁広域連合及び地域自治体と協働し、毎年、環境の状況並びに環境の保全と改善に関して講じた施策及び講じようとする施策を明らかにした報告書を作成し、公表しなければならない。

(施策に係る基本方針)

第9条 町は、基本理念の実現を図るため、次に掲げる基本方針に基づく施策を推進するものとする。

(1) 事業活動及び生活活動に伴う不用物の発生及び排出を抑制し、産業公害及び都市・生活型公害の発生を予防及び防止し、資源節約・循環型社会の構築を図ること。

(2) 大気、水、土壌等の環境の自然的構成要素を良好なものとして保全し、人と自然が共生できる文化と歴史ある環境及び安全で安心できる生活と福祉の環境を確保し、それらの維持継承を図ること。

(3) 生態系の多様性、野生生物の種の保存及び多様性の確保を図り、森林、農地、水辺地等の多様な自然環境を自然的社会的条件に応じて体系的に保全し、人と自然の豊かな触れ合いの確保を図ること。

(4) 良好な環境に関する理解と認識を深め、自主的かつ積極的に環境への負荷を少なくする取組みが増進されるように環境教育及び環境学習の推進を図ること。

(5) 国際的な環境管理に準じ、国際社会と協調して良好な環境を計画的に保全し、点検と継続的改善によって地球環境保全の推進を図ること。

(環境基本計画)

第10条 町長は、良好な環境の保全と改善に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、桑名・員弁広域連合及び地域自治体と協働して環境基本計画を策定するものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全と改善に関する長期的な目標及び施策の方向

(2) 良好な環境の保全と改善に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を策定するに当たり、あらかじめ木曽岬町環境審議会の意見を聴くとともに、町民の意見を反映することができるように、必要な措置を講じなければならない。

4 町長は、環境基本計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表し、周知しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更に関し準用する。

(町の施策)

第11条 町は、桑名・員弁広域連合及び地域自治体と連携し、自然的社会的条件に応じた良好な環境の保全と改善のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。

2 町は、良好な環境の保全と改善のために必要な施策を、桑名・員弁広域連合及び地域自治体との相互の緊密な連携及び施策の調整を図り実施するものとする。

(指導等)

第12条 町は、良好な環境の保全と改善を図るため、町民、町民団体又は事業者に対し、自主的な環境管理の推進に必要な指導及び助言を行うことができるものとする。

(自主的な活動の支援)

第13条 町は、町民、町民団体又は事業者による良好な環境の保全と改善に関する自主的な活動の促進を誘導するため、情報提供その他必要な支援の措置を講ずるものとする。

(情報の収集及び提供)

第14条 町は、良好な環境の保全と改善に関する情報の収集及びその提供に努めなければならない。

(教育、学習等)

第15条 町は、良好な環境の保全と改善に関する教育及び学習の振興並びにその広報活動の充実によって、町民が良好な環境の保全と改善に関する理解を深めるとともにその活動意欲が増進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(資源の節約及び循環的な利用等による廃棄物の発生及び排出の抑制の促進等)

第16条 町は、資源の節約及び循環的な利用、エネルギーの有効利用並びに廃棄物の発生の抑制及び排出の減量が促進されるよう、体制の整備、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境管理の推進)

第17条 町は、事業者がその事業活動に際して、良好な環境の保全と改善に関する方針の策定、目標の設定、計画の策定及び実施、体制の整備並びにこれらの監査の実施等からなる自主的な環境管理を行うことに関し、調査及び研究を行い、その普及に努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、町は、国際的な環境管理の実施に自ら努めるものとする。

(広域的な事務の管理及び執行)

第18条 町は、良好な環境の保全と改善に関する施策の事務を、桑名・員弁広域連合及び地域自治体の協議に基づいてこれを管理し、及び執行するものとする。

(財政上の措置)

第19条 町は、良好な環境の保全と改善に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(推進体制の整備)

第20条 町は、全ての町民、町民団体又は事業者の参加と協働をもって、良好な環境の保全と改善に関する施策を効果的に推進するための体制の整備に努めるものとする。

2 町は、桑名・員弁広域連合及び地域自治体との相互の緊密な連携及び施策の調整を図り、良好な環境の保全と改善に関する施策を推進するための体制の整備に努めるものとする。

(環境審議会)

第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、町の区域における環境の保全に関する基本的事項を調査審議する等のため、木曽岬町環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 良好な環境の保全と改善に関する重要事項

3 審議会は、前項に掲げる事項に関し、町長に意見を述べることができる。

4 審議会は、20人以内で組織する。

5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成12年4月1日から施行する。

(平成15年条例第29号)

この条例は、平成15年12月1日から施行する。

(平成16年条例第14号)

この条例は、平成16年12月6日から施行する。

(平成24年条例第17号)

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

木曽岬町環境基本条例

平成12年3月21日 条例第6号

(平成25年4月1日施行)